| No.054 他人任せに未来はない |
| 概要 |
・日経コンピュータに「崩壊するアウトソーシング」という興味深い記事が掲載された。
・情報化を他人任せにする理由は、「無知」、「責任転嫁」、「自己顕示欲」の3つ。
・アウトソーシングが全て悪いという訳ではなく、情報化の案件ごとによく検討すべし。
(2005/04/10)
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| 少し前まで煽ってなかったか? |
今回の題名は、少し前の日経コンピュータで特集された「崩壊するアウトソーシング」という記事のサブタイトルをそのままパクりました。とっても良い言葉だと思いましたので。
この特集の内容について簡単に書くと、アウトソーシング契約を見直す企業が相次いでいる現状と、どうすれば「ぼったくりメーカ(アウトソーサ)」に対抗できるかという事例を記載しています。なかなか良い特集だと思いました。詳細は買って読んでください。
私は以前から、できる限り情報システム部門(またはグループ内の情報システム子会社)が中心となって企業の情報化を推進すべきであると主張してきたつもりですし、そのためのノウハウをこのサイトに掲載してきたつもりです。(細かい内容が多いですが。)自分たちの力で自分たちの会社を良くしようとするのは、当たり前の事です。
しかし、日経コンピュータもちょっと前まではアウトソーシングを推奨する記事を数多く掲載してきたにもかかわらず、今更こんな記事を書くなんて...という感じです。ユーザ企業の経営者をアウトソーシングの罠にはめたのは、有力な雑誌の影響も少なくないはずです。これまでは、メーカ側の人たちの考え方を中心に紙面を作ってきたので、雑誌の編集者にユーザ企業の情報システム部門についての理解が不足しているのだと思います。...雑誌に対する愚痴はこれくらいにしておきます。
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| 他人任せにする理由 |
情報化に関連する事項をアウトソーシングすることを決断するのは経営者です。判断を誤る経営者が悪いと言ってしまえばそれまでなのですが、雑誌やメーカの営業やコンサルタントに経営者が騙されてしまうのも無理はないのです。なぜなら、情報化には他人任せにしたくなってしまう理由があるからです。
まず第一に、情報化に対する「無知」があります。多くの企業の経営陣には、情報化について知識が不足しています。以前も書きましたが、ユーザ企業では50歳以上で情報化に詳しい人材が不足しています。当然ながら、情報化の担当役員になれる人材がいないのです。どんな情報化をすると、どれくらいの金がかかりそうか全く想像できませんし、コンサルタントが話すバラ色の未来をすぐに信じてしまいます。知識不足のために、理想と現実の区別ができないのです。なので、高い金を払っていることに気がつきません。
第二に、「責任転嫁」です。情報化の責任を負いたくないため、「プロに任せたんだから失敗しても文句を言われない」という状況を作りたいのです。伝統的な日本の企業の多くは、挑戦よりも失敗しないことを重視します。情報化は失敗すると大変なことになる場合が多いです。部下に仕事を任せて失敗したら引責辞任もあり得ますからね。
第三に、「自己顕示欲」です。情報システム部門ががんばって情報化を推進して経費を節減しても、効果をアピールしにくいのです。経費を削減するために、情報システム部門の方々がお金をかけないで工夫することに対して、経営陣の許可は不要です。でも、アウトソーシングの予算を確保するためには経営陣に対する詳細な説明(=猛烈なアピール)が必要になります。企業のトップに近くなればなるほど、会社の金を使って、自らの実績をアピールたいと考えるのです。(あー、やだやだ。)
全国の経営者の皆様にお願いしたいのですが、情報化と聞いたら反射的にメーカに丸投げしないで、情報化について勉強し、責任を持って情報化に挑戦し、無駄な情報化投資をしないで欲しいです。
特に若手社員は無駄遣いする経営陣は嫌いなはずです。将来、無駄遣いのツケを負うのは今の若手社員ですから。
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| アウトソーシング自体は悪くない |
企業の情報化だから話が難しくなるのです。もっと身近なアウトソーシングについて考えてみましょう。いくつかの例を以下に示します。
・化粧品を自分で作る人は少ない。でも、化粧は自分でやる。
・風邪を引いたら薬を飲む。でも、ガンになったら入院する。
・食材は購入することが多い。でも、食事は自分で作ることが多い。
・家を自分で造る人は少ない。でも、設計には口を出すことが多い。
・乳幼児の育児を他人に任せることは少ない。でも、育児に必要な道具は購入する。
そうなのです。身近なアウトソーシングはたくさん存在します。つまり、アウトソーシング自体が悪いわけではありません。何が悪いかというと、何でもアウトソーシングで済ませようとすることです。一般的な家庭でお金を節約しようとすれば、必ずバランスを考えるでしょう。
また、よく情報システムは人間の神経に例えられます。神経そのものを他人に操らせてもいいと考える人はいません。でも、情報システムを髪の毛のようなものだと考えている人だと、カツラでも問題ないのです。
つまり、情報化をどう捉えるかで判断は変わってきます。その時点での様々な外部要因と内部要因をよく検討して、情報化の案件ごとに、費用対効果をよく考えてアウトソーシングするかどうかを判断すべきです。
「他人任せに未来はない」って、本当にいい言葉ですね。座右の銘にしようかな。
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