| No.069 ジェイコムショックに思う |
| 概要 |
・みずほ証券が引き起こしたジェイコム株の誤発注は、情報システムに大きな問題がある。
・フェイルセーフという考え方は、ハードウェアだけでなくソフトウェアにも必要。
・情報システム障害の多発により、監査が強化されるのは間違いない。
・投資額が多く重要なシステムに対しては、独立した組織による監査が必要だと思う。
(2005/12/18)
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| また「みずほ」グループか |
また「みずほ」なのか...と、ジェイコムショックを引き起こした証券会社を聞いて思いました。情報システムを軽んじる社風(グループ風?)は変わらないんだなと。
東証のシステムにも注文の取り消しができないという問題があったそうですし、取引を中止にしなかった東証の対応も悪いと思いますが、やはり私はみずほ証券の情報システムが最大の問題だと思っています。誰が見ても間違っているという注文が入力できてしまう情報システムで、かつ、それが多大な影響を及ぼすと判っている状態を放置しておいた責任があるでしょう。ま、自業自得というやつです。
東証側のシステムは、大量のトランザクション処理をリアルタイムに処理しなければなりません。全ての注文に対して内容の正当性をチェックすれば処理速度は低下してしまいます。ただでさえ、諸外国の証券取引所のシステムと比較して遅いと言われているのですから、これは仕方がないと思います。(決して富士通や東証が悪くないという事ではありませんが。)
みずほグループは、設立時のシステム統合に失敗した教訓を生かせなかったようで、とても残念です。私はみずほグループの内情には全然詳しくないのですが、グループ内の情報システムを統括する責任者や組織が不在なのだと思います。問題の公表が非常に遅れたのも「みずほ」らしい動きの遅い対応です。これが日本における超一流の金融グループかと思うと本当に情けなくなってきます。
株の誤発注に関する問題というのは、以前から何度も発生しています。さすがに今回は、全ての証券会社が自社の情報システムを点検する良い機会になったでしょう。だって、もし注文数量がもう一桁多かったら、みずほ証券は倒産の危機に瀕していたはずですからね。
でも、もっと言えば、同じ状況で悪意を持った担当者が故意に不正な注文を出したら、証券会社を倒産させることができる状態だとも言えるのです。こんな危険な状況で株式市場が運営されているは、一個人投資家としても非常に不安です。全証券会社の情報システムの早急な改良を求めます。
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| ソフトウェアにもフェイルセーフ |
だいたい、情報システムだけでなく、重要なシステムや機器には「フェイルセーフ」という考え方が当然浸透しているものだと思っていました。フェイルセーフとは、万一の場合、安全側に動作するという考え方です。例えば、信号機は故障すると赤になるそうですし、ガスや電気も危険な量が流れると止まるようになっています。
人の命に関わる機器やシステムは当然でしょう。でも、今後は重要な情報システム、つまり、ハードウェアだけでなくソフトウェアにもフェイルセーフの考え方が求められてくるはずです。例えば、今回のみずほ証券の情報システムも発行済み株数を超える売り注文は認めないという条件になっていれば防ぐことはできたと思います。本当に大量の売り注文を出したいのなら、複数回に分ければいいのですから。
前回も書きましたが、利便性より安全性を重視しないと痛い目に遭うのです。安全は何よりも優先すると覚えておくべきでしょう。
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| 監査の強化と法律による制限 |
これだけ頻繁に情報システムに関連する問題が発生して社会を賑わしていると、法律などによって情報システムの監査が強化されるのではないかと思います。
すでに「日本版SOX法」が近い将来に成立するのではないかと言われています。でも、この法律は財務諸表の正当性を確保するためのものですので、企業会計およびこれに関連する情報システムが対象となるはずです。なので、今回のような証券会社の注文システムには適用されないかもしれません。会計と連結する部分だけが監査対象となって、システムの安全性まで監査されるかどうかは微妙だと思います。
私は、ある一定の条件を満たしている全ての情報システムを対象として、認定された資格を持つ独立した組織による監査を受けて、合格しないと稼働させてはダメというようにしてはどうかと思います。(例えば、「投資額1億円以上の情報システム」や「企業の存続に影響を与える情報システム」など)
とは言え、誰が監査するかという点も重要ですし、資格を持つ独立した組織が監査したからと言って不正やバグなどのミスを完全に防げるわけではないという事は、昨今の構造計算書偽造問題を見れば明らかです。
それでも私はやらないよりはやった方がましだと思いますし、安全には金をかけるべきだと思います。
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