| No.098 情報化の裏目的 |
| 概要 |
・情報化には主目的と副次的な目的(=裏目的)の2つが存在する。
・主目的は経費の節減、人員削減、売り上げの増加など経営上の大きな課題を解決すること。
・裏目的はシステム管理者や利用部門の担当者が楽になること。
・主目的と裏目的を同時に達成する情報化が、本当の意味での良い情報化。
(2007/04/01)
|
| システム化の裏目的 |
今回は、何やら怪しい題名ですが、悪いことをしようという訳ではありません。情報化を推進するための、ちょっとした工夫を紹介するだけです。
情報化を実施するには、多くの場合、主目的と副次的な目的の2つが存在します。主目的とは、表向きの目的であり、経営陣を説得するためや費用対効果を示すための資料に使われる大きな目的のことです。例えば経費の節減、人員削減、売り上げの向上などが主目的に該当するでしょう。でも、主目的=経営側の都合だけでは、社員は動かないのです。
副次的な目的を私は、裏目的と呼んでいます。裏目的がない情報化は、実際の導入段階で非常に苦労します。例えば、社員の皆さんやシステム管理者が少しだけ楽になるとか、仕事の時間がちょっとだけ短くなるとかという事です。仕事が楽になっても、仕事に要する時間が少しだけ短くなっても、経営にはほとんど影響しませんよね。誤差の範囲ですから。でも、実際に仕事をする社員にとっては大きな問題なのです。
つまり、きれい事だけでは情報化は成功しないのです。
|
| 今回の情報基盤整備では... |
今回、私が実施した情報基盤整備を例にすると判りやすいと思います。
ネットワーク整備。主目的は経費の節減です。月額60万円以上の通信コストを月額十数万円まで圧縮しました。裏目的は、ダイヤルアップ接続の追加。長期休暇の際に障害が発生した場合や、お客様の緊急対応の場合に、自宅から社内のパソコンを遠隔操作できるようにしました。
ファイルサーバの更新。主目的は災害対策。サーバ内の全データを毎日バックアップできる機器に更新しました。外部倉庫へ月に1回は保管する予定です。裏目的はデータの復元。利用者が間違って削除してしまったファイルを復元するためです。これで助かった社員は導入後1ヶ月で5人以上です。
シングルサインオンの実現。主目的はセキュリティ対策。ウィンドウズのログオン、グループウェアへのログオン、メールサーバの認証という3システムのIDとパスワードを統一することで、IDとパスワードを定期的に変更してもパスワードを忘れにくい体制にしました。裏目的は、ユーザの登録削除作業の軽減。以前は、3つのシステムがばらばらにユーザ管理をしていたので、一人ユーザが増えただけで15分は作業時間がかかっていました。これからは、AD(アクティブディレクトリ)に対して登録、削除、変更するだけなので、システム管理者=私は大幅に楽になりました。
人事情報システムの導入。主目的はセキュリティと経営情報支援。ばらばらの書類で管理されていた人事情報を一元管理することでセキュリティの向上と経営陣に対する情報提供の迅速化を行います。裏目的は、発令文書の自動作成、AD更新用のバッチファイルの作成です。総務部および私が楽になります。
ソフトバンク携帯の導入。主目的は経費の節減。社員同士の通話は無料になります。裏目的は個人負担の軽減。私が勤務している会社では、携帯電話使用料が月額1万円を超えると、その分は個人負担です。個人負担を増やしたくない社員は、積極的に協力してくれました。
仕事は本来、会社の利益ため、組織の利益ためにするものですが、自分の利益にならないことだと、なかなか気合いが入りませんよね。当然の事です。自分も会社も幸せになるからこそ、一生懸命仕事をしたくなるのです。
主目的と裏目的を同時に達成する情報化が、本当の意味での良い情報化だと思います。
|
| 本音と建て前 |
主目的は経営陣に対して提示しても良いと思いますが、裏目的は提示しない方が無難だと思います。非常に良い情報化で効果が大きくても、社員が楽になるという資料を提示してしまうと、古い考えの経営者だと、それだけで反対する場合もあるからです。仕事は苦しくなくてはダメだという方は、意外に多いのです。
経営者の皆さん、私からのお願いですが、もし裏目的を見抜いても主目的を達成していれば、ちょっとぐらい経費が増加しても見ぬふりをしてあげてください。経営者は苦しくて当然です。その分、成功した場合の見返りも大きいのですから。一般の労働者に経営者と同じ苦労を要求するのは酷です。経営者には、一般の労働者が少しぐらい楽するのを許す懐の大きさが必要だと思いますよ。
番外編を除くと、あと2回でシステムアナリストのひとことも100回ですね。良く続いたと思います。何か記念にやってみようかな。検討します。
|